土曜日の予選は残念な結果に……。ウェットコンディションの中ビヨンがアタックし9番手。しかし、ほんの少しコンディションが良くなったGT300クラスとの混走時にタイムを上げてきたチームもあり、11番手までドロップ。その混走時に運転しているのは自分であり、事実上アタックしていることになる。ただビヨンと同じくリヤグリップ不足に悩まされ、コンマ1秒とどかず残念ながらスーパーラップ進出を逃した。
この予選結果にチームの落胆は隠せなかった。ただ悔いの残るレースはしたくない。遅くまでチームとミーティングをし、日曜のフリー走行では大きくセットチェンジしたマシンでトップタイムをたたき出すことができた。僕はもちろんだが、チームの皆も決勝への可能性を感じたはずだ。
決勝までのピットウォークやトヨタファンシートでの挨拶の合間、多くの友人、知人がピットに駆けつけてくれた。その中には千羽鶴を折って持ってきてくれた仲間も。本当に大切な人たちだ。そして両親と弟も駆けつけてくれた。両親には僕がカートを始めた頃から常に心配をかけてきた。
「事故はいつ起きてもおかしくない」と覚悟はしていたと思うが、やはり今回の件は相当ショックだったと思う。又、妻の存在は大きかった。
大きなショックを受けながらも群馬の病院で看病しつつ、関係者と連絡を取り、メディアへの対応、事務的な処理。それに加え退院してからは精神的に不安定な僕のケア。本当に大変だったと思う。ありがとう。
決勝はウェットからドライ、そしてウェット。非常に難しいコンディションの中、ビヨンの走りとチームの采配により、良い形で自分の順番がまわってきた。そしてビヨンが乗るENEOS SC430がピットロードの作業エリアに帰ってきた。タイヤ交換、給油、そしてドライバーチェンジ。 「大丈夫。 自信を持って。 集中。 集中……」 自分を支えてくれた全ての人へ、感謝の気持ちを込めて。
“伊藤大輔 再スタート”