SuperGT/ルマン24
レーシングドライバー

レーシングドライバー伊藤大輔オフィシャルサイト

コラム 伊藤大輔「復活への道」

vol.02:モヤモヤ感

事故から3週間は群馬県の病院で過ごした。最初の5日間は絶対安静ということで寝たきり。その頃はいろんな器具が身体に付いていたので上半身裸だったし、その状態でズボンを降ろし看護師さんに尿瓶を持ってもらったのは、今から考えると少し恥ずかしいな……。でも自分は動けないし、その頃は何とも思わなかったけどね(笑)。6日目からは少しずつ身体を起こせるようになったけど、7日目から10日目あたりの頭痛は本当にひどかった。頭をぶつけているから当然かもしれないけど、夜は1時間くらいしか寝られない。点滴、飲み薬、座薬も効かない。耐えるしかなかった。

頭痛の山を越えてからはある程度落ち着いた入院生活になり、毎日各部の検査とリハビリ。その他の時間は当然仕事のことや将来のことが頭をよぎり、いつ復帰できるかわからないモヤモヤ感と一緒に生活しているような感じだった。


それは転院先の病院にもついてきた。3週間経った身体の見た目はいたって普通。見てわかるのは額の傷と、折れた鎖骨を固定しているベルトくらい。だから面会に訪れる人たちは皆僕の姿を見て拍子抜けする。切り傷のような外傷や骨折などは回復するのが目に見えるし、想像がつく。でも頭をぶつけた時の損傷は見た目でわからないし回復するペースも外傷に比べて遙かに遅い。だから医者も含めて皆は「ゆっくり丁寧に治した方が良い」と言うが、当然ながらドライバーとして「早く復帰したい」とも思う。だから入院中は身体の検査とリハビリがメインだけど、常にそのモヤモヤ感と一緒に生活することになってしまった。

→vol.03


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